いわしデッサンと木片ドローイング

少しずつ春の気配が感じられ、2月もあっという間にもう後半です。
ジュニアクラスでは来月小学校を卒業するという声も聞こえてきて、より春が待ち遠しいところです!
昨年に少し遡って、12月の課題から2課題をピックアップしてご紹介したいと思います。

【イワシの細密デッサン】

まずは細密デッサンの課題であるイワシです。
食べる時はじっくり観察すると怒られてしまいますし、水族館では泳ぎが速くてよく見えません。そんなイワシを、今回はじっくり間近で観察しながらデッサンしました。

■細密デッサンについて
デッサンは通常、ボリュームや全体のバランスが大切です。あまり細かな部分を描き込みすぎると逆に平面的な印象になってしまうので、「細部よりも、全体の明暗を意識してね」と説明することが多いのですが、細密デッサンでは、細かな部分を描かないと絵にならないようなモチーフを選んでいます。
明暗も入れながら、さらに目や口元、背びれや腹びれなどを、よーく観察してもらいました。

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(クリックすると大きめの画像が表示されます)
どの作品も、それぞれのイワシらしさをよく掴めていますね!
大人でも困ってしまうことの多い、難しめのモチーフですが、全員、すらすらと描いていた姿がとても印象的でした!

 

【自由制作~木片ドローイング】

12月の3週目は自由制作として、木片ドローイングを行いました。まずは、昨年、豊田市美術館(愛知県)で開催していた現代アーティスト杉戸洋さんの個展カタログで、いろいろな素材を使った心象風景のような作品を見て、イメージを膨らませました。

今回は自由制作のため、素材や画材など各自で好きなものを選んで制作しています。普通の四角い紙に描くのとはひと味もふた味も違う、素晴らしい良作がたくさん出てきましたので、ぜひ、ゆっくりご覧頂ければ幸いです!
 
 

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「夜空にひろがる星」
雪と星と夜空とが小さな正方形の世界に広がっています。星空で使った布の表現が魅力的で、「銀河鉄道の夜」のような文学的な雰囲気漂う作品でした!

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「夕日のさくら」
安定を作り出す三角形の構図に対して、逆三角形は画面に不安定さを作り出す構図であり、ムンクの叫びにも逆三角形が登場する、と芸大教授の布施英利さんが本に書いていましたが、まさにこの逆三角形が効果的に使われて、夕暮れ時と桜の印象的な風景が演出されています!春の夕日、という取り合わせも絵ならではの心象的な風景ですが、なぜだかこのイメージ、共感できる方も多いのでは。
 
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「まだ描かれていない絵」
支持体として用意した綿布を、立体のための素材として使っています。絵の額に使われた金色ビニールタイと同じものを、金色の部分だけ取り除いて、カーテンを止めるための針金として利用したところなど、随所に作者のこだわりが感じられます!素材感のあるナチュラルなカーテンに対して、派手に彩られた絵が引き立っていますね。窓ではなく「絵」というところに、いろいろな解釈が生まれてくるのがとてもおもしろい作品です!

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「虹と花畑」塗りのこされた木目の部分や、貼られた金色ビニールタイなど、絵を描くだけでなく素材に意識が向いていますね。同じ絵でも、白い紙に描くのと板に描くのではだいぶ雰囲気が変わります!
 
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左「机の上の色とりどり」、右「いろんな心」
両方とも、わくわくするタイトルです!左の作品は、四角い板を垂直な「キャンバス」として捉えるのではなく、ぐるんと水平に捉え、「机」として作られました。足がつまようじなので立てることはなかなか難しいのですが、発想の転換に驚かされる作品です!机の上のお皿が抽象画のようにも見え、横に置いてみても、現代アートのような面白さがありますね。

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「春の冬どけ」
抽象画のような春を感じさせる風景です。不透明な雪の部分と、薄塗りの桜色の部分の対比など色彩と素材の組み合わせが心地よいですね!
 
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「楽しい冬のゆきだるま」
雪だるまを作った思い出なのか、雪だるまが楽しんでいるところなのか、あるいはその両方なのかもしれません。人は描かれていないのに、雪だるまとの思い出の楽しさが伝わってきます!

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「しずかなまち」
な、なんと、ジオラマ模型のような作品を作ってくれました!街をテーマにした大作です。木造の二階建ての建物から始まり、池の周りの緑や線路まで。つまようじと布を工夫した街路樹に心くすぐられますね。大きくてぶ厚い、扱いづらい板に挑戦したその姿勢も見習いたくなります!

 
 
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こりかたまった大人の脳では出てこないような発想で、のびのびと楽しく制作してくれたのではと思います。

クリックすると大きな画像が表示されますので、ぜひどうぞ!