作品紹介~油彩(2)「お花の香りを運ぶ心地良い風が吹いています」

続いて、モンドリアンのアーモンドの木を参考とする抽象画の課題からの作品です。
こちらは自画像とは正反対の、同系色の柔らかなトーンとなりました。

 

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「お花の香りを運ぶ心地良い風が吹いています」/油彩、キャンバス
平田めぐみ
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(作者コメント)

真夏に思考が停止してしまった
おりの中に暮らす
ありくいが、はじめてお花を
見つけた時の風景
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菜の花を連想させるような、黄色で統一された画面が華やかですね。
風景はどこにも描かれていないはずなのに、まぶしい光と草原が見えてくるようです!

アリクイの写真と、「パステル調の作品にしたい」というざっくりとしたイメージからスタートしたこの作品。
左側に、檻の向こうのアリクイのシルエットがあり、右側には草花のようなものが広がっています。檻も、草花も、なんとなくそれと分かるようなヒントがありつつも、アリクイも含めて全てが黄系の世界に包まれています。
きっと、おりの中にはない、アリクイの想像の中にだけある草原なのかもしれません。

(部分拡大)
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おりの部分はナイフで厚塗りです。

 

全体として見ると「黄色い絵」に見えますが、実際はグレーだったり、黄土、茶色と、少しずつ色味の変化がありますね。植物の中にひそむグリーンも効果的です。
絵を描く時に、白いパレット上の色と、制作中のキャンバス上の色とでは、だいぶ色が違って見えることに戸惑った経験のある方も多いのでは。
繊細なトーンの変化が、とても魅力的な作品だと思います。

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いかがでしたでしょうか。

力強さとインパクトのある自画像と、
明るく繊細なトーンが魅力的なアリクイの作品。

厚塗りなど共通点はありながらも、正反対の印象を受ける2作品です。どちらも捨てがたい面白さが見え隠れしていますね!
平田さんの今後の作品展開がどうなるのか、とても楽しみにしております!!

作品紹介~油彩(1)「自画像2010」

今回は、金曜日ナイトクラスの平田めぐみさんの油彩作品2点をご紹介します!!
ともにカリキュラムの課題のひとつですが、平田さんは課題の意図を消化しつつも、どのように表現するか自分の中で一度かみ砕いたうえで、自分の「作品」らしく完成してくださいました!

 

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「自画像2010」/油彩、キャンバス
平田めぐみ
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(作者コメント)

マティスの赤とわかめをリスペクトして
興味のかたまりだった
2010の自分
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印象的な自画像です。
マティスのフォービスムおよびドイツ表現主義の課題作品ですが、顔の部分は立体的に捉えているのに、背景には平面的な模様が原色に近い色と厚塗りで配置されていたり、なんだか見れば見るほど面白くなってくる作品だと思います。

大胆に配置されたのっぺりとした黒い髪と、顔の厚塗り、そしてざっくりと描かれた服と背景は、それぞれ描き方の密度が異なります。
よく見るとちぐはぐにも思える要素が、本当に絶妙なバランスで保たれていますね!
エリザベ・スペイトンやミヒャエル・ボレマンスのようにタッチを残しながら絵を「完成」させるのは、一見簡単な作業に見えて、いざやってみるととても難しいことが分かります。

また、背景の色彩と模様は、マティスからのイメージです。赤の下に見え隠れする黄緑が効いていますね。

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実はこの作品、一度完成してから1,2ヶ月程おいた後に、さらに手を加えて完成となりました。冷却期間を置きながら、じーっくりと検討された上で「これでよし」とされた作品ならではの、有無を言わせぬ説得力があります!!

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(絵の具のマチエールが魅力的です)

静物画 ~連作ドローイング課題

現在アトリエで展示中の、小島さんのドローイング作品をご紹介いたします!
カリキュラム課題のうちの、ドローイングの連作課題です。
 
まずはリンゴをモチーフに、どのような描き方ができるかのエクササイズを行いました。

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リンゴの数を増やしてみたり、輪郭線だけ追ってみたり、上から見たり・・・・といろいろなアイディアが出てきました。机の線をヒントに練られた構図と、クレヨン+水彩の組み合わせが絶妙です!

 

エクササイズを終えたところで、各自でテーマを決め、大・小あわせて7、8枚の作品を制作していきます。
今回の小島さんのテーマは、「様々な画材や支持体で静物画を描くこと」でした。

 

【展示風景】

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(上段左から)紙に色鉛筆+水彩/板に油彩/紙にクレヨン
(下段左から)紙に水彩/紙にクレヨン
 

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(上段左から)木片にクレヨン+色鉛筆、木片/紙にアクリル
(下段)キャンバスにアクリル
 

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『いろんな静物画』
小島史子

・いろいろな静物の雰囲気を出したいなと思いました。
・画材道具も、全て違うものを使って、出来上がりがどんなかを自分でも楽しみにしていました。カリキュラムでアトリエに飾ってもらったんですけれど、とても嬉しかったです。ありがとうございました。
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作品1枚1枚がそれぞれ楽しそうに描かれていて、リズム感がおもしろい連作です!
「こういうの描いてみようかな」なんて刺激を受けてしまいますね。
通常、展覧会では、油彩は油彩、水彩は水彩、と分けて展示されます。お互いに干渉してしまったり、例えば油彩の隣にあると、水彩の繊細な良さが見えづらくなってしまうのが普通です。
そんな常識に対抗するかのように、様々な画材が同等の扱いで横に並んでいます。
モチーフの扱いも、描写的だったり、装飾的だったり、画材の特性を活かしてみたり、、、、と、様々なアプロ―チをおおらかな印象で試しているのがとても魅力的だと思います。
そのちぐはぐさと、それぞれの画材の面白さにリズムがあって、なんだかどきどきわくわくさせられる連作となりました。

作品サイズが大きく違うものもありながら、モチーフを同じ距離から捉えたものが多いです。
作品のサイズと一緒にモチーフも伸び縮みしており、とても小さな静物の隣にあると、キャンバスの静物がとても巨大に見えてくる面白さもありますね!

 

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板に下地を塗って描かれた油彩です。油絵の具らしいタッチが魅力的です。

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赤紫系統で統一感のある水彩と、ライトグリーンのクレヨン画は輪郭の妙!という作品でした。

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手のひらサイズの作品です。サイズ感のかわいらしさと、装飾的なアプローチが合っています!

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1枚の良い作品を作る姿勢はとても大切ですが、いくつかの作品をまとめて見ることでしか見えてこない”良さ”というのもあるのではと思います。
作者がどんなことに興味があって、どんなことを伝えたいのか。組み合わせて見ることで、「その人らしさ」のようなものが立体的に浮かび上がってきます。
肩肘張らずに描くことができるドローイング的な作品は、作者の視点や思考過程を見るという意味でも、非常に興味深いツールなのではないでしょうか。

小島さんの作品は1月末まで展示しておりますので、アトリエにお越しの際はぜひぜひご観賞ください!

速報!「第31回 全国日曜画家コンクール」入選!

公募展の入選速報です!

金曜日ナイトクラスの實川絵里子さんが、この度、公募展 一枚の繪「第31回 全国日曜画家コンクール」に入選されました。

 

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實川絵里子さん 「想い」 40.9×31.8 cm キャンバス、油彩
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もともと日本画を勉強されていた實川さんですが、
なんとこの作品は油彩を始めて2枚目、という快挙です。

元住吉駅近くの住吉神社で、ご本人にとっても思い入れのある場所とのこと。
地面が大きく入る構図と、柔らかなタッチが印象的です。
お参りする人の意識の先へ自然と視線が誘導され、
タイトルとも響き合っていますね。

2月の空気感漂う、素敵な作品です!

 

今は抽象画を描いている實川さん、今後の作品展開が楽しみです!!

 

帰り道 / 油彩、キャンバス

宮嶋さんの油彩風景画が先週末、完成したのでご紹介いたします!

 

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「帰り道」 宮嶋 沙由里 さん 455×380 mm (油彩、キャンバス)

〈作者コメント〉運動不足解消のため、会社帰りに丸子橋をウォーキングしていました。
そのときに見た多摩川の風景と、いつも乗っている東横線です。

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5月の夕焼けです。どこか切ないような、暖かいような、言葉で表現できない感覚がとてもよく伝わってきます。
「ああ、この感じ分かるな」と共感できる方も多いのではないでしょうか。

作者自身で撮影した写真もきれいなものでしたが、写真には映っていない、場所に対する思い入れやこの時感じた気持ちのようなものがよく表現されていると思います。

手前右にうっすらと見える土手への階段もどこか頼りなげで、抒情的ですね。
写真だと分かりづらいですが、逆光で暗くなっている部分にもブルーやグリーンなど様々な色味が重ねられて、夕焼けを引き立てています。

 

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画像は作品左手の部分です。空も多摩川も同様に夕焼けの光が入っていますが、空は大きなざっくりとしたタッチで広く遠くへ、川は細かいタッチで重く静かに、と、油絵具の質感をうまく生かして描き分けられています!
東横線の向こう側に見える遠景は、建物を細かく描いたりはせずに省略して東横線を際立たせていました。
遠くの薄いブルーグレーが美しいですね。

宮嶋さんの視点で捉えた別の風景も、ぜひ見てみたいです。
風景となるかはまだ分かりませんが、次回作が楽しみですね!!

秘密の花園 (油彩)

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「秘密の花園」 菊地 久仁子さん  F6(キャンバス、油彩)

〈作者コメント〉 油彩2作品目です。児童文学作品の「秘密の花園」を読んで描きたくなり、心の中の景色を描きました。
手前の葉をもう少し大きく描けば良かったです。
花などの絵の具をベッタリ塗った所が気に入っています。

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わくわくする作品だと思います。

扉のこちら側と、庭の向こう側の明暗差によって、夢の世界のような花園が表現されています。

話を聞く前から、小学生の頃に読んだ「秘密の花園」が記憶の底からにょきっと出てきたので、まさか本当に小説を題材にしているとは嬉しい限りです。
小説は字で読むものですが、絵を見てもう一度小説が読みたくなる、そんな作品だと思います。

 

遠くの木々や石畳みの周りなど、 下地に塗ったイエローがとてもうまく生かされています。
(慣れない人はついつい描きすぎてしまい、下に塗った色を消してしまいがちです。)

想像の世界なので細かい描写が難しかったはずですが、手前の草花と向こう側の木々の描き分けや、木々に当たる光、手前の石門に当たる光など丁寧に描写されています。

女の子も描きすぎず、向こう側に迷いこんでいく姿に視線が誘導され、つい引き込まれてしまいますね。

次回作も乞うご期待です!