今回はいつも植物画を描いている矢田部玲子さんの作品をご紹介いたします。
昨秋の展覧会の後から描いていた、最新作2点です!
矢田部 玲子さん 「バラ」 51.5×36.4cm (紙、水彩)
〈作者コメント〉
バラの鮮やかな色を表現したくて描きました。
花びらの表情とバラ特有の葉が難しかったですが、独特の色合いを彩色する時が楽しかったです。
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バラの凛とした表情が伝わってくる作品です!
葉の濃い緑に引き立てられて、花びらのイエローオレンジが画面に映えていますね。
1輪のバラを大きく捉えた構図なので、要素が少ない分、描き込みも大変だったかと思われますが、細かく描かれた葉脈や色味、艶など、バラの葉の表情がよく観察されていて、見ごたえがあります。
しっかりと描き込むところと、抜きの部分のバランスのおかげで、葉と葉の関係に空間を感じさせますね。
大きくとった余白にも緊張感が生まれました。
1輪の冬バラの美しさが伝わる、素敵な1枚です!
続いてもう1枚、2月~3月に咲くシンビジュームの植物画です。
矢田部 玲子さん 「シンビジューム」 51.5×36.4cm (紙、水彩)
〈作者コメント〉
自分で育てた黄色のシンビジュームが描きたかったので、水彩画で表現しました。
愛着もあって、楽しく描くことができました。
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昨年はピンク色のシンビジュームを描いた矢田部さんですが、今年はかわいらしい毬のようなシンビジュームを持ってきてくれました。
同じシンビジュームでも、色だけでなく花びらの表情もだいぶ違いますね!
今回は、つぼみとお花、そして葉の根本の3カットが描かれています。
つぼみから開花の時期への茎の変化、そして鉢の様子など、多角的なアプローチから、植物の様子が立体的に浮かび上がってくるのがとても面白いです!
中央は透き通るような厚みのある花が鈴なりに4つ並んだ構図ですが、主役のお花にしっかりと焦点が合い、つぼみの先へつながる誘導もうまいです。
黄色は色を重ねると色味も変わりやすいので、明るい黄味を残しながら描き込んでいくのはなかなか難しかったのではないでしょうか。
バラの方もそうですが、どこか凛とした艶やかな表情があるのが、矢田部さんらしい植物画なのかなと思います。
お花のデッサンは非常に安定感があるので、今後は部分的なカットの組み合わせを、どのように構成していくのかがとても楽しみですね!
福岡に行かれるということでとても寂しくなりますが、今後もぜひ、いろいろな植物に挑戦していって欲しいです!!