秘密の花園 (油彩)

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「秘密の花園」 菊地 久仁子さん  F6(キャンバス、油彩)

〈作者コメント〉 油彩2作品目です。児童文学作品の「秘密の花園」を読んで描きたくなり、心の中の景色を描きました。
手前の葉をもう少し大きく描けば良かったです。
花などの絵の具をベッタリ塗った所が気に入っています。

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わくわくする作品だと思います。

扉のこちら側と、庭の向こう側の明暗差によって、夢の世界のような花園が表現されています。

話を聞く前から、小学生の頃に読んだ「秘密の花園」が記憶の底からにょきっと出てきたので、まさか本当に小説を題材にしているとは嬉しい限りです。
小説は字で読むものですが、絵を見てもう一度小説が読みたくなる、そんな作品だと思います。

 

遠くの木々や石畳みの周りなど、 下地に塗ったイエローがとてもうまく生かされています。
(慣れない人はついつい描きすぎてしまい、下に塗った色を消してしまいがちです。)

想像の世界なので細かい描写が難しかったはずですが、手前の草花と向こう側の木々の描き分けや、木々に当たる光、手前の石門に当たる光など丁寧に描写されています。

女の子も描きすぎず、向こう側に迷いこんでいく姿に視線が誘導され、つい引き込まれてしまいますね。

次回作も乞うご期待です!

 

 

 

 

静物 (油彩、オイルパステル)

今週は菊地久仁子さんの油彩画をご紹介します!

まずは、これまで主にアクリルやクレヨンを使って描いてきた菊地さんが、初めて取り組んだ油彩です。なんとお父様が使っていた油彩道具を持ってきてくれました。親子で絵の具を共有できるなんて羨ましいですね。

 

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「静物」 菊地 久仁子さん  F6(キャンバス、油彩・オイルパステル)

〈作者コメント〉 初めて油彩に挑戦しました。
ビンの透明な所や、石とザクロの立体感がうまく表現できないので苦労しました。
背景の色が気に入っています。
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オイルパステルと油彩の併用で描かれています。オイルパステルの上からさらに油絵の具を重ねているので、ざらざらしたパステルと、もってりした油絵の具の異なる質感が効果的に働いています。また、背景の薄桃色の後ろから見え隠れする寒色が、画面全体をうまく引き立てています。

ただ単純に模倣していくのではなく、絵具感や色彩の方に目が届くところなど、初めての油絵なのにさすが、という感じです。ビンと背景の関係もうまくおさまっていて、軽やかで明るい絵に仕上がっています!

 

 

 

 

 

お気に入り adidas /デッサン

引き続き、小林さんのデッサンをご紹介します。

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「お気に入り adidas」 小林 幸恵さん  B3(紙、鉛筆)

〈作者コメント〉 いつもの履き方でひもをグルグルにしたら難しくなりました。
こちらに向いている方のスニーカーも苦労したもののひとつ。できあがった時は達成感がありました!
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完成度の高いスニーカーのデッサンです。
仕上げてくれてとても嬉しいです。

靴は左右で同じ大きさであるはずなのに、向いている方向によって形や長さが全然違います。 頭の中にある靴の形の固定観念を崩すことができるかが勝負どころです。
とはいえ、実際に描くのは難しく、なかなか思う方向を向いてはくれません。

今回も右側のスニーカーがなかなかこちらを向いてくれず大変でしたが、
最後の最後まで本当に粘り強く修正してくれました。

その甲斐あってか、隅々まで手の届いた、気持ちのよいデッサンとなってくれました!

レザー部分や表面のヨレなど、質感もしっかりと表現されています。
説得力のある良いデッサンだと思います。

 

 

電球とレンガとナス / デッサン

今週は、いつも丁寧に作品を仕上げてくれる小林さんのデッサンをご紹介します!

 

 

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「電球とレンガとナス」 小林 幸恵さん  B3(紙、鉛筆)
〈作者コメント〉 なすがかわいくて、手をかけました。

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電球とレンガとナス、ひとつひとつを丁寧に観察しながら進めていったことがよく伝わってくるデッサンです。
与えられた課題でも、それぞれのモチーフを大切にすることは作品全体の質を上げるものだなと思わせられました。

ご本人のコメント通り、ナスには特に愛着が感じられて、生き生きとした描写が好感を持てます!
(写真だと細かいところが見れず残念です・・・)

小林さんは「抽象画を描きたい」と言ってアトリエに来てくれていますが、写実的な描写にも時間をゆっくりかけ、1枚1枚を着実に仕上げています。小林さんの描く抽象画も楽しみですが、また機会があれば、今度はモチーフをもっと増やしたデッサンを描いてもらいたいです!

 

 

 

シンビジューム ~3月の植物画

前回に続けてもう一点、矢田部さんの作品です。

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「シンビジューム」 矢田部 玲子さん  F3水彩紙
〈作者コメント〉 自分で育てたお花を描けるのでとても楽しかったです。

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ご自宅で毎年咲かせているシンビジュームを持ってきてもらいました。
手間のかかる植物で、まったく咲かない年もあるとのこと・・・。
品種名は「マリーローランサン」! なんだか嬉しくなるお名前ですね。
花は白く、透けるようなピンクが特徴でした。

大きな白い花が三輪重なっているため、描き分けが難しい構図です。
白いので本当に難しいところだったと思いますが、丁寧に光を追って描いていったので、奥行きが出て、メインのお花がすっと目に入ってきてくれます。

絵にすると花の白が茎の緑に負けてしまいそうな植物でしたが、白い部分の微妙な変化が描きこんであり、実際の花弁が持つ存在感が伝わってくる素敵な仕上がりとなりました!

 

 

水仙 ~2月の植物画

「水仙」 矢田部 玲子さん  F3水彩紙
〈作者コメント〉 季節を感じられて楽しかったです。

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第一弾は、植物画を描いている矢田部玲子さんの作品をご紹介いたします!
矢田部さんはいつも午前中にアトリエに来て、植物を丁寧に観察しながら描いてくれています。

今回の水仙はお花も葉も比較的とらえやすい形だったおかげか、2時間半でさらっと描きあげてくれました!

 

 

 

安定した描写力に支えられた、とても気持ちの良い水彩画です。

白い花びらも、紙の色をうまく残しながらグレーと黄みを置くことで、光の微妙な調子を感じさせる仕上がりとなっています。