らしい物達 / アクリル

続いて、最新作のアクリル画です!

 

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「らしい物達 」 海野 峻宗 さん F8 (アクリル、キャンバス)

〈作者コメント〉 俺の性格をそのまま映したような作品になるのは当然ですね。

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絵はその人らしさがにじみでてくるのが面白いところでもあると思います!

絵の具を楽しみながら描いているのが伝わってきますね。
画面全体に動きがあるので、見ていて飽きません。

青リンゴの明暗や、白い布のストライプの省略の仕方など、とても上手いと思います。

ものとものの関係や、壁、台、台から落ちている布の部分など、それぞれの光と影を大まかに捉えて従いつつも、自分なりの解釈で描けています。
青い布も、同じような青で均一に塗るのではなく、様々な青の色味を置きながら、折り返しの部分のふくらみや、床、背景といった布の全体の位置関係を表現できています。

崩していくと濁ってしまったり、全体の調和を取るのが難しいものなのですが、発色もよく、豊かな感性を感じさせる作品に仕上がっていると思います!

これからも、絵の具を使ってどんどん絵を描いていって欲しいです!

 

「身内のクツ」 「変わるパイナップル」 /デッサン

海野峻宗さんの作品です!

ご紹介するタイミングを逃してしまっていたので、デッサンを描き上げてからだいぶ時間が経ってしまいました・・・・・・が、タイトルをつけることで、鮮やかな息吹を吹き込んでくれました!

 

 

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「身内のクツ 」 海野 峻宗 さん 380×540 mm (紙、鉛筆)

〈作者コメント〉 現在、片方のクツが行方知れずです。

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革製の赤い女性ものの靴です。

裏返しにした片側がほぼ正面を向いている難しい配置です。靴のワインレッドと、裏側の黒いゴム部分の色味が似ているのでとても描きづらかったはずですが、奥行きがつぶれることなくしっかりと描きあげられています。ゴム部分の鈍い光の反射と、革のつやっぽさの違いもよく観察されています。

海野さんのデッサンは、淡い光が丁寧に表現されるところが魅力です。

時間をかけて、消して描いてという作業を繰り返していくので、細かなところが繊細に仕上がっています。左側の靴の飾り縫いの部分も、細かいところをただ「描き込む」と説明的になってしまいがちですが、淡い光と影を丁寧に追っているのが伝わってきますね。

少し突き放すようなタイトルも、背景にある物語を想起させるようで、作品を魅力的に仕上げています!

 

 

もうひとつデッサンをご紹介します。

 

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「変わるパイナップル 」 海野 峻宗 さん 380×540 mm (紙、鉛筆)

〈作者コメント〉 日がたつにつれて姿が変わってゆくパイナップルの生物感と、時間の干渉を受けない電球とレンガの姿が表現できていると願います。

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難しいパイナップルに果敢に挑んたデッサンです。

描くのが大変だったこともあり、パイナップルが徐々にしおれていき、何度か代替わりしながらがんばって描き上げてくれました。

レンガと電球、パイナップルにメリハリがあるのがとても見やすいです。

レンガはまっすぐな線がしっかりと入り、ずっしりとした重みがよく表現できていると思います。それに対して、パイナップルは柔らかな光を感じさせるような仕上がりになっています。
細かな描写を追いつつも、ボリューム感を意識して、回り込みも描けています。
レンガとパイナップルの間の空間のおかげで、全体の奥行きも伝わってくるデッサンですね。

 

 

 

 

ポトスといちじく / 色鉛筆

最後は色鉛筆の静物をご紹介します。

大きな紙に色鉛筆だったので、2時間で描き上げるのは大変だったと思いますが、 ドローイングのようなイメージで雰囲気のある作品に仕上がりました!

 

IM_potos_web200_2  「ポトスといちじく 」 井村 三佳さん 380×540mm (紙、鉛筆)

〈作者コメント〉あまり慣れない色えんぴつ画への挑戦でしたが、いろんな色を足せば足すほど深みが出てきて、色をのせてて楽しかったです。

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構図がとても良かったと思います。
ひきの構図だと机の線を描く人が多いのですが、後ろの背景もあわせうまく省いて、紺色の布の三角形とポトスの先で構図を捉え、余白が間延びせずに活かされています。

紙の白から背景の黄色、青い布へと徐々に色と大きな線が重ねられていくことで、視線が中央の主役に自然と誘導されます。
紺の布に残された大きな線が効果的できれいですね。
主役のポトスとカップ、いちじくは、固有色を残しながらも色々な色が重ねられていて、昼下がりの午後のような、暖かな雰囲気のある絵となりました!

 

 

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さて、井村さんはなんと妊婦さんで、8月にご出産予定です・・・!!
日に日に大きくなっていくお腹を抱えながらも、しっかりデッサンをしてくれました。

ご出産も近づきタブノキはしばらくお休みとなりますが、素敵な赤ちゃんの誕生が楽しみですね!

「電球、ライムとれんが」「植木鉢と板」 / デッサン

今週は井村さんの作品をいくつかご紹介します!

まずは、デッサンカリキュラムでお馴染みのレンガと電球の組み合わせデッサンです。

 

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「電球、ライムとれんが 」 井村 三佳さん 380×540mm (紙、鉛筆)

〈作者コメント〉 電球の形、透明感、光り具合にはじめは大変苦労しましたが、対象物をしっかり見てじっくり描きこんでいくと、きちんと表現できることを学びました。

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あっという間に描き上げてくれたデッサンでした!井村さんは、間違っていても恐れずに、思い切りよくざくざく描いていきます。そのため、早い段階で全体像が見えて来るので、レンガや電球の形のゆがみの修正も比較的容易にこなされていました。

なんと2枚目のデッサンですが、全体に同じように手が届き(これが意外とできない人が多いのです!)まとまりがありますね。接点や影などのモチーフ同士の関係性も、よく見ながら客観的に対象を把握しています。

とりわけ、レンガとライムの描き分けがとてもよくできていると思います。

濃い緑色のライムと赤いレンガの明度が似ているため、同じような質感になってしまいがちですが、ライムの表面の小さなでこぼこを丁寧に追っているので、同じ鉛筆の濃さでも一目で違いが分かります。

布の白さをポイントにして、メリハリのあるデッサンに仕上がっています!

 

あわせてもう一枚、デッサンをご紹介します。

 

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「 植木鉢と板 」 井村 三佳さん 380×540mm (紙、鉛筆)

〈作者コメント〉 植木鉢の形や奥行きを表現するのに苦労しましたが、先生のアドバイスに従っていくうちに自然と出来上がってきて描いていて楽しかったです。

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こちらもさくさくと形を捉えてくれました。板はコーヒーの樽蓋の木片ですが、長さがあるため紙に収めるのが少し難しいモチーフです。
植木鉢の手前から外縁の底への奥行きや、底の形を取るのに皆がひっかかるところなのですが、違和感なく仕上がっています。側面の直線から底の曲線への入り方も、とてもよく観察して描けています。

植木鉢の外側の光を丁寧に見ているので、向こう側へまわりこんでいく感じが伝わってきますね。

円が少しよたよたしてしまっているのが残念ですが、内側と外側の整合性は捉えられています。3つのモチーフの色の違いなど、大きな塊としての描き分けもできています。
荒削りなのにも関わらず、大切な要所要所がしっかりと抑えられているので、とても説得力のあるデッサンになったと思います!