続いて、モンドリアンのアーモンドの木を参考とする抽象画の課題からの作品です。
こちらは自画像とは正反対の、同系色の柔らかなトーンとなりました。
「お花の香りを運ぶ心地良い風が吹いています」/油彩、キャンバス
平田めぐみ
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(作者コメント)
真夏に思考が停止してしまった
おりの中に暮らす
ありくいが、はじめてお花を
見つけた時の風景
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菜の花を連想させるような、黄色で統一された画面が華やかですね。
風景はどこにも描かれていないはずなのに、まぶしい光と草原が見えてくるようです!
アリクイの写真と、「パステル調の作品にしたい」というざっくりとしたイメージからスタートしたこの作品。
左側に、檻の向こうのアリクイのシルエットがあり、右側には草花のようなものが広がっています。檻も、草花も、なんとなくそれと分かるようなヒントがありつつも、アリクイも含めて全てが黄系の世界に包まれています。
きっと、おりの中にはない、アリクイの想像の中にだけある草原なのかもしれません。
全体として見ると「黄色い絵」に見えますが、実際はグレーだったり、黄土、茶色と、少しずつ色味の変化がありますね。植物の中にひそむグリーンも効果的です。
絵を描く時に、白いパレット上の色と、制作中のキャンバス上の色とでは、だいぶ色が違って見えることに戸惑った経験のある方も多いのでは。
繊細なトーンの変化が、とても魅力的な作品だと思います。
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いかがでしたでしょうか。
力強さとインパクトのある自画像と、
明るく繊細なトーンが魅力的なアリクイの作品。
厚塗りなど共通点はありながらも、正反対の印象を受ける2作品です。どちらも捨てがたい面白さが見え隠れしていますね!
平田さんの今後の作品展開がどうなるのか、とても楽しみにしております!!