作品紹介~油彩(1)「自画像2010」

今回は、金曜日ナイトクラスの平田めぐみさんの油彩作品2点をご紹介します!!
ともにカリキュラムの課題のひとつですが、平田さんは課題の意図を消化しつつも、どのように表現するか自分の中で一度かみ砕いたうえで、自分の「作品」らしく完成してくださいました!

 

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「自画像2010」/油彩、キャンバス
平田めぐみ
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(作者コメント)

マティスの赤とわかめをリスペクトして
興味のかたまりだった
2010の自分
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印象的な自画像です。
マティスのフォービスムおよびドイツ表現主義の課題作品ですが、顔の部分は立体的に捉えているのに、背景には平面的な模様が原色に近い色と厚塗りで配置されていたり、なんだか見れば見るほど面白くなってくる作品だと思います。

大胆に配置されたのっぺりとした黒い髪と、顔の厚塗り、そしてざっくりと描かれた服と背景は、それぞれ描き方の密度が異なります。
よく見るとちぐはぐにも思える要素が、本当に絶妙なバランスで保たれていますね!
エリザベ・スペイトンやミヒャエル・ボレマンスのようにタッチを残しながら絵を「完成」させるのは、一見簡単な作業に見えて、いざやってみるととても難しいことが分かります。

また、背景の色彩と模様は、マティスからのイメージです。赤の下に見え隠れする黄緑が効いていますね。

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実はこの作品、一度完成してから1,2ヶ月程おいた後に、さらに手を加えて完成となりました。冷却期間を置きながら、じーっくりと検討された上で「これでよし」とされた作品ならではの、有無を言わせぬ説得力があります!!

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(絵の具のマチエールが魅力的です)

天空のヴィーナス / アクリル絵の具、キャンバス

今回は、金曜日クラスのYUKARIさんによる、ヴィーナスの作品ををご紹介したいと思います!

 

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YUKARI さん 「天空のヴィーナス」 41.0×31.8cm (アクリル絵の具、キャンバス)

〈作者コメント〉
願いを叶えてくれる女神さまです。この世界が喜びで溢れるように虹の上でヒラヒラ舞っておられます。
あなたの大切な人たちを思い浮かべて幸せな姿を想像してみてくださいませ**

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絵ならではの、想像力の広がる作品です。
左上の天使がとてもかわいいですね!透き通った翼の表現や、身体のデッサンにも説得力があります。

写真では少し分かりづらいですが、夜の部分にはキラキラとしたラメが散りばめられています!遠い星と近くの星が描き分けられ、きらきらとした夜空が広がっています。
透き通るような夜空に、女神さまの輝くようなイエローが映えていますね。

星空と太陽の間に虹がかかって、空の虹の上になんとお花が舞っている!という、まさに絵でしか描けないモチーフが非常に面白いと思います。
自分の世界観がとても重要になってくる作品です。
天使の頭のお星様や手に持ったハート、女神のトウシューズの小花など小道具の細かいところにも気が利いていて、見ていて楽しいですね。

〈天使とヴィーナス、そして願いを叶える〉という設定が入ることで、ぐんと絵に奥行きが出てきますが、さらに、女神の神話的背景・宗教的背景などが入ってきても面白そうです!

ちなみに、願いを叶えてくれる女神さまとは、
お部屋に飾りがいがあります・・・。

次回はどんな世界が見られるのか、楽しみですね!!

似顔絵スケッチ part.1

新年おめでとうございます。
2015年第1弾は、S.Sakai さんの似顔絵スケッチをご紹介いたします!
昨年の暮れ頃に数回に分けて描いてもらったものの中から、数枚をピックアップしてみました!

 

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左端は麻生太郎さん、残りは有名な女優さんです。
右端が天海祐希さんで、中央は少し懐かしい正統派女優の・・・・・
喉元までお名前が出かかって、どうしても思い出せません。分かった方、ぜひ教えてください。

 

次はスポーツ選手シリーズです。
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左から、
相撲の朝青竜さん、なでしこジャパンの澤穂希選手、水泳の北島康介選手です。
スポーツ選手は絵に動きがあって見ごたえがあります!あの感動が思い起こされますね!

 

続いて芸能人シリーズです。
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歌手をテーマに集めた日だったのですが、左端だけ俳優さんです。最近ご活躍中の俳優さんで、こちらはビタミンドリンクのCMからのピックアップです。
中央はきゃりーぱみゅぱみゅさん、右は桑田佳祐さん。
紅白で歌った曲が人気を集めているそうですね!

 

最後におまけとして政治家を入れてみました。
政治家が笑っていると怖いからか・・・二人ともむっつりな表情が他の似顔絵と比較してなんだか心くすぐりますね。
小道具を入れるとぐっと世界が広がります!

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S.Sakai さん / 似顔絵スケッチpart.1   A4サイズ (油性ペン・色鉛筆、紙)

〈作者コメント〉似顔絵検定対策に、時間を決めて、似顔絵を描く練習をしました。
5分、10分、20分と、短い時間から始めていくと、顔全体の大まかな特徴をとらえるいい訓練になりました。
友達の結婚式のウェルカムボードに似顔絵を描くのにも、自身になりました。

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今回は以上です。
似顔絵を集めるとなんだかわくわくして楽しんでしまいますね!
S.Sakaiさんの似顔絵はさすが描き慣れていることもあり、とても安心感があります。
これまでは鉛筆だけでしたが、ペンや色が入ってきたことで、さらにブラッシュアップされたのではないでしょうか!

ちなみに前回の俳優シリーズはこちらをどうぞ ▼俳優シリーズ /鉛筆スケッチ
(こちらもまた違ったテイストになっています。)

part.2はいつになるか分かりませんが、ストックがたまってきたらまたご紹介したいと思います。

どうぞ、お楽しみに!

人物 (色鉛筆)

引き続き、李ヒヨンさんの作品です。
「青を少し強調していくような感じで」描いてみたいと挑戦した色鉛筆の人物画です!

 

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「人物 」 李 ヒヨンさん /380×540 mm (紙、色鉛筆)

〈作者コメント〉   AB型のなかよし友達。    彼女の想像の世界はいつも面白い

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自分で気に入った数本の色鉛筆を選んで、色数を限定して描かれた作品です。

肌に肌色は使われていません。人物は主にブルー、レッド、イエローの3色で描かれています。真正面から顔を大きく捉えているので、数本の色鉛筆だけで描いていくのはなかなか難しかったと思います。

安定した描写力に支えられた作品です。遠目にも分かるくらいに大きく残された色鉛筆の線が面を作り、人物の凹凸を描きだしています。
鎖骨や口元などの細部ものっぺらぼうにならず、丁寧に表現されていますね。

色鉛筆というと、もっと複雑に様々な色をのせていくのが普通ですが、色鉛筆の「素の色」や「線」を大切にしているので、色を混ぜすぎずに、紙の白をうまく利用して描かれています。女性の肌の透き通る感じもよく表れていますね。

少し変わった友人の内面が表現されている、不思議な印象の人物画となったのではないでしょうか!

 

李さんは「こんな感じで描いてみたい」というのをしっかりと決めて、果敢に色々な表現に挑んでくれます。失敗を恐れずに、まずやってみる、という姿勢に学ぶところは大きいです。

転職に伴い5月末で韓国にご帰国されることとなり、タブノキとしてはとても寂しくなります。韓国でも、ぜひいろいろな表現に挑戦し続けて欲しいです。李さんの今後のご活躍をお祈りしております!

昭和時代 (チャコールペンシル)、 星の王子様の町 (水彩色鉛筆)

今週は、人物を中心に絵を描いている李さんの作品をご紹介していきたいと思います!

 

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「昭和時代 」 李 ヒヨンさん / 380×540 mm (紙、チャコールペンシル)

〈作者コメント〉    今と変わっているのは何かしら。

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友人の顔を描く合間に、アトリエにあった昭和の写真集を元にして描いたものです。
女優の李麗仙さんが、旦那さんだった唐十郎さんと花園神社で食事をしているという、すごい写真をぱぱっと拡大して描いてくれました!(元写真では、左側に唐十郎さんがいて一緒にご飯を食べています)

写真だとつい人物にばかり目がいってしまいますが、絵にすると、大盛りのご飯や箸の持ち方、座布団、光、木の枝・・・といった風に、見えなかった要素が浮き上がってきます。
女優さんのポーズがちょうど三角形にうまく紙の中に収められつつも、大切な頭部が途切れていて、こんなところでご飯を食べている女優さんの窮屈さが予感させられ、絵としても面白い構図になっています。

チャコールペンシルのざらざらした質感とやわらかい黒の色味が、昭和時代の雰囲気ともぴったり合っていますね。写真をどうするのか、というのが難題ではありますが、シリーズ化したら面白くなりそうな作品だと思います!

 

さて、もうひとつ、李さんのドローイング作品もご紹介いたします。

 

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「星の王子様の町 」 李 ヒヨンさん / 380×540 mm (紙、水彩色鉛筆、アクリル)

〈作者コメント〉     いつか帰りたい.

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余ってしまった時間でその時思いついたものを描いたドローイングです。

「星を描きたい」という簡単な発想から、描いているうちに想像がふくらんで物語性のあるタイトルをつけてくれました。

水彩色鉛筆で星を描いた後、思い切りよく、アクリルの黒と白が入っています。

この「思い切り」というのが、なかなかできなかったりします。作品だと思うとつい慎重になってしまうものですが、軽やかな気持ちでドローイングをすると、意外と次の道が開けたりするものです。水彩色鉛筆だけでは出せなかった勢いが出てくれたのではないでしょうか。

ドローイングなんだけれども、タイトルも入り、李さんの世界感が垣間見えるものに仕上げてくれました!

 

錦織圭(テニス選手)/ 色鉛筆

続いてS.Sakai さんのスポーツ選手シリーズです。色鉛筆の作品です。

 

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「錦織 圭   選手」  S.Sakai さん / 色鉛筆、紙 (八切り)

〈作者コメント〉 最近、テニスで世界ランク ベスト4のフェデラ―選手を倒したことで絶好調の錦織圭選手を、色鉛筆で描いてみました。
バックハンドストロークのインパクトのシーンですが、動きや表情に注目して描きました。
是非、錦織選手の今後に期待したいと思います。

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色鉛筆による2枚目の作品です。
とりわけ表情にはこだわりを感じさせます。肌や髪の部分の、丁寧に観察された描写とやわらかい表現が気持ちの良い絵です。

頭部の回り込み(輪郭の向こう側にまわり込んでいく部分)をしっかり追っているので、鼻から耳、その後ろの髪までの奥行きが感じられます。

両手がこちら側に向かって伸びている非常に難しい構図ですが、
速い球とラケットのブレが画面の中心に動きを作り、インパクトの瞬間の緊迫感が伝わってくる絵に仕上がっています!

顔と球のインパクト部分がしっかり描き起こされているので、自然と視線が誘導されます。
スポーツ選手ならではの、動きのある画面に挑戦してくれました!