ドローイング「帰省」 ~アトリエで展示中です!

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アトリエにお越しで既にお気づきの方も多いかなと思われます。
3月頃より、金曜日クラスの平田めぐみさんのドローイング作品を、アトリエ内で展示しております!
 
 

板や紙、キャンバスなど様々な支持体に描かれた、甥御さんと過ごした日々のドローイングが、「帰省」というテーマでまとめられています。

 

 

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カリキュラム・ドローイング課題
平田めぐみ  「帰省」
油彩、アクリル、水彩、ペン / 紙、板、キャンバス

3歳になる甥っ子とよく遊び話します。
甥っ子がよく目にするもの、話す言葉から着想を得て、
いっしょに過ごした時間を描きました。
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まずは、棚の中にひっそりと置かれたこけし達。

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こけしから始まり、ミノムシや妖精のようなモチーフが、シンプルな構図で表情豊かに描かれます。 夏休みに帰省した男の子の様子とオーバーラップすることで、まるで、くるみ割り人形のような、子供の不思議な世界を覗き込むようで、なんだかわくわくしますね。

 

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大小さまざまなベニヤ板やキャンバスボード、キャンバスなど。
 

厚みが違うと、それぞれ印象も変わってきます。平田さんの作品は白が特徴的ですが、板の木目を生かした薄塗りの白から、厚塗りのホワイト、そしてキャンバスの白まで、いろいろな「白」に挑戦されていました。

 

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(町の風景と、アイスを食べる植物の精霊)
 

松のような木の上でアイスを食べる精霊、なんだか気になるモチーフです。どこか子供らしい無邪気さのある精霊は、もしくは男の子自身なのかも・・・・

 

 

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(帰省時に収穫したジャガイモのスケッチ/水彩)
 

 

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左)林の中に足を踏み入れていく男の子
右)シーツの中で遊ぶのは…?(後ろを歩く怪獣にヒントがありそうです)
 
 
 

子供の視点をキーワードに、現実と、非現実の世界が交錯します。 どこまでが現実なのか、その境界線がゆらりと揺らぐ、夏休みならではの不思議な世界。
 

みなさんも遠い記憶の彼方に、そんな体験があるのでは・・・・・・・
 
 

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(茂みの中にいるのは・・・??!)
 
 
 
 

一連のドローイングは、昨年の夏から冬にかけ、時間をかけてゆっくりと取り組んだものから選ばれています。
こけしがミノムシになったり、不思議な精霊になったり、はたまた甥っ子さんになったりと、平田さんの頭の中でゆっくりと揺らいでいく男の子の姿が、目に浮かぶようです。
 

見れば見るほど楽しくなってくるこの世界、5月末まで、アトリエの端々に広がっております!

 
 

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○番外編○
 

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番外編は、ドローイング課題ではなく、平田さんの最新作のアクリル画です。
 

ブルーの柔らかなトーンと、その下に見え隠れするレッドが魅力的ですね。
こちらもなんだか、遠い記憶の中を探るような、不思議な距離感を持つ雰囲気が漂う作品だと思います。
 

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最新作の雰囲気で、5月からは第2弾の風景画を制作予定とのこと。

ぜひぜひお楽しみに♪

作品紹介~油彩(2)「お花の香りを運ぶ心地良い風が吹いています」

続いて、モンドリアンのアーモンドの木を参考とする抽象画の課題からの作品です。
こちらは自画像とは正反対の、同系色の柔らかなトーンとなりました。

 

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「お花の香りを運ぶ心地良い風が吹いています」/油彩、キャンバス
平田めぐみ
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(作者コメント)

真夏に思考が停止してしまった
おりの中に暮らす
ありくいが、はじめてお花を
見つけた時の風景
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菜の花を連想させるような、黄色で統一された画面が華やかですね。
風景はどこにも描かれていないはずなのに、まぶしい光と草原が見えてくるようです!

アリクイの写真と、「パステル調の作品にしたい」というざっくりとしたイメージからスタートしたこの作品。
左側に、檻の向こうのアリクイのシルエットがあり、右側には草花のようなものが広がっています。檻も、草花も、なんとなくそれと分かるようなヒントがありつつも、アリクイも含めて全てが黄系の世界に包まれています。
きっと、おりの中にはない、アリクイの想像の中にだけある草原なのかもしれません。

(部分拡大)
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おりの部分はナイフで厚塗りです。

 

全体として見ると「黄色い絵」に見えますが、実際はグレーだったり、黄土、茶色と、少しずつ色味の変化がありますね。植物の中にひそむグリーンも効果的です。
絵を描く時に、白いパレット上の色と、制作中のキャンバス上の色とでは、だいぶ色が違って見えることに戸惑った経験のある方も多いのでは。
繊細なトーンの変化が、とても魅力的な作品だと思います。

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いかがでしたでしょうか。

力強さとインパクトのある自画像と、
明るく繊細なトーンが魅力的なアリクイの作品。

厚塗りなど共通点はありながらも、正反対の印象を受ける2作品です。どちらも捨てがたい面白さが見え隠れしていますね!
平田さんの今後の作品展開がどうなるのか、とても楽しみにしております!!

作品紹介~油彩(1)「自画像2010」

今回は、金曜日ナイトクラスの平田めぐみさんの油彩作品2点をご紹介します!!
ともにカリキュラムの課題のひとつですが、平田さんは課題の意図を消化しつつも、どのように表現するか自分の中で一度かみ砕いたうえで、自分の「作品」らしく完成してくださいました!

 

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「自画像2010」/油彩、キャンバス
平田めぐみ
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(作者コメント)

マティスの赤とわかめをリスペクトして
興味のかたまりだった
2010の自分
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印象的な自画像です。
マティスのフォービスムおよびドイツ表現主義の課題作品ですが、顔の部分は立体的に捉えているのに、背景には平面的な模様が原色に近い色と厚塗りで配置されていたり、なんだか見れば見るほど面白くなってくる作品だと思います。

大胆に配置されたのっぺりとした黒い髪と、顔の厚塗り、そしてざっくりと描かれた服と背景は、それぞれ描き方の密度が異なります。
よく見るとちぐはぐにも思える要素が、本当に絶妙なバランスで保たれていますね!
エリザベ・スペイトンやミヒャエル・ボレマンスのようにタッチを残しながら絵を「完成」させるのは、一見簡単な作業に見えて、いざやってみるととても難しいことが分かります。

また、背景の色彩と模様は、マティスからのイメージです。赤の下に見え隠れする黄緑が効いていますね。

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実はこの作品、一度完成してから1,2ヶ月程おいた後に、さらに手を加えて完成となりました。冷却期間を置きながら、じーっくりと検討された上で「これでよし」とされた作品ならではの、有無を言わせぬ説得力があります!!

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(絵の具のマチエールが魅力的です)